Rintaro Fuse on Selfies and Cave Painting


By Sophie Arni


Rintaro Fuse (b.1994) is a multimedia artist based in Tokyo, whose work oscillates between digital dissonance and art historical research. Concerned with selfies, Iphone visuals, and the fabric of postmodern society, Fuse graduated from the Oil Painting Department at the Tokyo University of the Arts. He is currently a postgraduate student at the Department of Media Studies, pursuing an MFA in Film and New Media. Fuse participated in numerous group exhibitions in Tokyo including 'In the air', 3331 Arts Chiyoda (2015), 'Anzai Prize Scholarship Recipient Exhibition', Tokyo University of the Arts Yuga Gallery (2015), 'Room with a good view' at Turner Gallery (2016), 'LANDSCAPE: detour for White Base' at Bambinart Gallery (2017) and 'Ginza 24h Squad' (2017). His solo shows include 'iphone mural (iPhone's cave wall painting)' at Block House, Tokyo (2016). He participated in ‘Model Room’, a two-artist exhibition and collaboration with Yuta Akiyama at SNOW Contemporary (2018), and curated ‘Mapping Loneliness’, a group exhibition at Yotsuya Unidentified Studios (2018).

His artistic practice stems from studying prehistorical cave paintings and modern social life, which he doesn't see as separate. His point of view is one of creating links between various practices. As you'll read in this interview, he thinks of selfies are the 'most accelerated form of reverse engineering'. As subject and object become one, the symbiotic relationship between artist and viewers takes today on a more fluid shape, a less concrete separation, and that confusing space is exactly what Fuse tries to capture in his complex cave-like installations. It is indeed in the dark and with a certain distance that he succeeds in producing visual experiences that showcase the cruel lack of depth and desire to move beyond the superficiality of our information age.

Rintaro Fuse, Installation of existence creation and annihilation, 2017. Variable dimensions.


- English translation follows -


S.A. - 今日は、インタビューありがとうございます。

あなたは,Media-fluid インストール・アーティストです。でも、また、日本の最もセレクティブなプログラムである東京藝術大学の油絵科からの学位を持っています。 最初にどんな絵に魅力を感じていましたか? そして、どのようにして、インスタレーション・アートの方向へ移動しましたか?

Rintaro Fuse ー 高校時代から絵は描いていました。漫画やアニメーションが好きで、特に"AKIRA" のようなSF的なランドスケープをよく描いてました。当時、日本でCHAOS*LOUNGE という現代アート集団がデビューして、世間を騒がせました。最初は、インターネット上にアップされている画像を素材として再使用したり、オタクカルチャーを搾取的に、あたかも自身のコンセプトとして使う彼らの表現に対して怒りを覚えました。でも、僕らは、インターネット世代であり、インターネットがアートになっていく彼らのコンセプトに次第に惹かれて行きました。僕はオタクカルチャーやオタククリエーターの作るイメージがすきです。日本では、絵画からシンボルを表現するという内面からくるシンボルは出てこないような気がして、諸外国からくるものや宗教とかいう、外からのシンボルの表現に成り代わってしまう、だから日本人は、キャラクターだけは作れると言われてしまう。コンテンポラリーイメージとして、アニメキャラクターを使っている彼らを見て、自分が絵を描いて表現する目的について考えました。アーティストとして、新しいシンボルを作り出すべきだと思いました。でもそれを"Tableau" の上で表現することはできないと思い、Media-fluid インスタレーションに移動していきました。絵画からシンボルを表現するというような西洋的なコンセプトよりは、絵画を見ていなくても、そこに絵が存在する空間をアートとして捉えてみたい、それがインスタレーションにつながりました。芸大の油絵科は、あらゆるメディアを選択できます。

S.A. - 私はあなたの作品を、建築家秋山ゆうた氏との2人展「Model room」で発見しました。 あなた達は壁紙に女の子の肖像画とベッドの上のカメラ「ルシダ」の在るアパートメント ステューディオを建てました。 それは今日のソーシャルメディアに夢中になった若い女の子たちのモノローグのようです。 コンセプトについてもっと教えていただけますか? "モデルルームは建築家のコンセプトですか、それともある一つのモデルとしての部屋を表現していますか?

Rintaro Fuse ー その両方です。簡潔に言えば, "How to dream a dream" ということになります。アパートメントの各部屋の間には、壁と壁の間に存在する隙間があります。その誰のものでも無い空っぽな隙間の空間を秋山氏が演出し、僕の場合は、その空っぽなスペースの内側をIphoneの空間にたとえて、それがどう広がっていくのかを描きたかったのです。

S.A. - あなたのレチナ ペインティング(Retina painting)は、とても美しく、興味深かったです。抽象的なセルフィー写真のように見えます。 あなたはインスピレーションとしてソーシャルメディアにある実際の写真を使用しましたか?

Rintaro Fuse ー 基本的に僕のコンセプトとして、キャンバスとかスクリーンに直接タッチした絵は描きません。だからスプレーを使って描きます。まず、カメラ・オブスクラ(camera obscura /暗室)としてテントを使い、小さな穴を通して前にいるモデルを投影像として捉え、そして素描をする工程をとりました。実際に肉眼で見て描いたものもあります。セルフィーやインスタグラムのイメージを使用することもあります。

S.A. - あなたはセルフィー写真と3つのセルフのコンセプトについて書いていますね。 セルフィーの写真では、撮る人、被写体、鑑賞者は同じです、それは自己です。 今日のソーシャルメディア時代の3セルフついての意見を聞かせてください。

Rintaro Fuse ー 見る人の数じゃなくて、誰に見られるか?という時には、リバース エンジニアリング(reverse engineering)の最も加速された状況がセルフィーだと思っています。僕としては、セルフィーから多くのインスピレーションを得ています。アーティストは、いろいろなものを繋げていく作業をするけど、例えば、僕のIphoneとcave paintingのような、何をどう繋げていくか?というのがクリエイティブなポイントだと思っています。その時に、セルフィーには繋ぎ方のバリエーションがものすごく多くて、何を繋げていってもダイナミックなものに見えてくるところが面白い。セルフィーにおいての三つのセルフ、 撮る人、被写体、鑑賞者を一人で実現すること、そしてその中で、加速したリバースエンジニアリングをしていく、そんなところが洞窟壁画にも似ていると思います。これが解体再築していけばいいなぁと考えています。

セルフィー作品において僕が大切にしたことは、3セルフが移動し続けることを鑑賞することができる点で、その動いているサークルを鑑賞することの面白さだと思います。言い換えれば、サークルの中で動いている閉じられた運動を人々は外側からIphone越しに見ることができるということです。

S.A. - 2016年には、ブロックハウス・トーキョーでの個展「Iphone Mural」を発表しました。 あなたは、洞窟の絵やソーシャルメディアのプラットフォームの「タイムライン」を取り上げました。 FacebookやTwitterのタイムライン上での時間と動きの概念について詳しく教えてください。 洞窟でのマーク・メーキングは、「存在する」ことを証するためのパブリックな永久的なサインでした。デジタルプラットホームの静止画像はどうですか? どんな風にFacebookのステータスは静的で永久的ですか?

Rintaro Fuse ー まず、洞窟壁画は、静止画像では、ありません!ドイツのWerner Herzog 監督によって3Dで撮られたフランスのラスコー洞窟壁画のドキュメントフィルム "Cave of Forgotten Dreams" (2010) を見てもらうとよく解りますが、洞窟壁画を見る時は、暗がりの中、松明を照らしながら見て回るので、イメージも動いているような感じがします。GIFイメージに似ていて、アニメーションのような気がします。洞窟壁画は、もともと動画の始まりとさえ言われています。見るためにライトが必要だから、それによって動くということ、近くにあるものしか見えず遠くに行くとまた違うイメージが見えてくる、そこがTimelineに近いと思ったのです。Twitterの場合、言葉自体が刻まれ縮小化され、さらに他者の言葉も割り込んできて、一つの流れの中に複数の流れがどんどん含まれて行く点が、洞窟壁画においても、複数のいったい何人の作者が描いているのさえ分らずに人々が描き足していった点が、Twitterにすごくシンクロしていて近いなぁと思います。Twitterにおいて、自分がポストしたテキストが他者の介入によってその主体がTimelineとしてバラバラになって行く点も、時を隔てて描き重ねていった洞窟壁画に似ていると思います。僕は、主体がバラバラになった美術作品がどんなフォルムになって行くのか?ということにとても興味があります。

S.A. - あなたはグラフィティアートにインスピレーションを得ましたか? 古代の洞窟壁画は世界で最初のグラフィティーであったという人もいます。 あなたはFacebook、Instagram、Twitterを "Street"として見ていますか? あるいはスピードと自己主張のアイデア、Instagramの瞬間的な性質に関心を持っていますか?

Rintaro Fuse ー はい、僕はグラフィティーアートも見てきましたし、インスピレーションも得ました。でも、Streetは、屋外に存在するものであって、気候の変化や昼夜の光の変化などを含むところが洞窟とは大きな違いだと思います。洞窟では、雨だろうが天気だろうが変わらない、時の流れさえ変わらない、普遍的なホワイトキューブになっている。もしアートに普遍的な条件があるとしたら、時間の流れに関係がないこと。僕は、洞窟壁画の気候とか時間の変化に全くさらされてない点に注目することが大事だと思っています。僕は、普遍的なアートというものに興味があって、実際それが実現存在しているということに、さらにとても興味を注がれます。そんな意味で、僕は、Street の外壁に描くということは好きではありません。

S.A. - "Iphone Mural" では、壁の2D作品を見るために人々が歩くことができる洞窟を作りました。 また、たくさんのスクリーンと建設的オブジェが展示されていました。 そのようなインストールを作る上で、何があなたを魅了しましか? なぜあなたは、鑑賞者が実体験のように感じる作品を作ったのですか?

Rintaro Fuse ー その時代のコンテンポラリーな複雑さを複雑なままに体験できるということ、鑑賞者に複雑さを体験させることが、僕の自分のアートの一つの機能だと思っています。"Iphone Mural" においては、僕自身がキュレイトし、13人のコラボレーターと作り上げました。それぞれ違った分野から、アーティストだけではなく、作り手のダイバーシティーを示すため、グラフィックデザイナー、ミュージシャン、コメディアン などと一緒に作ったものが展示されています。

S.A. - あなたは、今日のソーシャルメディアのメタファーの欠如について話をしています。それについてもっと教えてください。Instagramの写真やTwitterの引用文をあまりにも本当のことのように取り扱かっていると思いますか?

Rintaro Fuse ー メタファー を使うには、何か体系が必要です。もし僕がメタファーを使うとしたら、ある種の言語体系を理解しなければなりません。でも、今のソーシャルメディア エイジにおいて、どんな言語の体系が機能しうるのか?それが機能するような言語体系が現在一つもないのではないか?と考えてしまいます。だからそれがメタファーの欠如につながっていきます。メタファーに行くには、オルターナティブなシステムを作るためのきっかけが必要なんじゃないかと思っています。昔なら宗教とかが体系を作る際に役立ってはきたけれど、今では、新しいシステムが生まれるためには、書き言葉とかアート作品とかををシンボル化していって、それが徐々に体系になって行くのでは?と考えます。新しい、コンテンポラリーなアート作品がそのコンプレックスな流れの中でのスターティング ポイントになってくれれば、そしてそれがオルターナティブなきっかけと成り、アート作品がシンボルの生まれてくる場所になってくれればと思っています。

もし、シンボルが現れていたら、アートはアレゴリーを持って解体して行く、それはシンボルとアレゴリーがお互い入れ替わってあらわれて行く現象として知られていることです。現代において新しいシンボルを打ち立てることは、新しいナショナリズムやラディカル運動になってしまうし、これは危惧するべきだと思います。あえて僕が"Iphone Mural" などで、複雑さを表示したのは、シンボルの構築とアレゴリーの構築とを同時にパラレルに実装できる空間が作れたらと考えたからです。僕の場合は、アート作品としての空間でそれらを表現できたらと思ってます。こういった考えが生まれてくるのも、今の世の中においての新しいシステムへの創造力なんだろうなぁと思います。

S.A. - さて、最後にレチナ・ペインチングに関する技術的な質問です。 あなたが使用したメディアは何ですか、なぜモノクロの色とぼかしを使用しましたか?

Rintaro Fuse ー レチナ・ペインティングでは、スプレーを使って、距離をとって描きました。油絵の具ではありません。セルフィーを見ながら描いてましたが、テント型のカメラ・オブスクラを使って描いている場合は、どんなものか暗くてよく分からなくなることがあります。スプレーを使って描く時はキャンバスとの距離が大事になってきます。あまり近ずきすぎるとスプレーペイントが泣いたように垂れ流れてしまいます。セルフィーを撮る時もバランスのとれた距離が必要です。そういった意味も含めて、サブジェクトとオブジェクトの距離を表現するために、スプレーで、距離をとって描きました。

S.A. - 色に関する最後の質問ですが、あなたのwebsiteにはコバルトブルーの背景があります。 この色についてもっと教えていただけますか? あなたにとって、どういう意味がありますか?

Rintaro Fuse - 私はブルーが人間の本性と最も離れていると思っています。それはレッドの反対です。 たとえば、Windowsのエラーページ、Twitter、Skype、Facebook、Instagramの古いバージョンなど、機械色のようなもの。 また人間が色を選びたいと思ったとき、青を選ぶことがよくあります。 青は、浮遊感を覚えさせる色でもあると思います。

S.A. - "イヴ・クライン(Yves Klein)の青 "は、どう思いますか?

Rintaro Fuse - 私はイヴ・クラインが大好きです! 僕にとって、彼は現代の洞窟画家であるとさえ思っています。

S.A. - 今日は、とても興味深いお話ありがとうございました。新しいアイデアに満ちた次の作品を楽しみにしています。

Rintaro Fuse ー こちらこそ、色々お話ができて楽しかったです。ありがとうございました。